全ての内臓についていえることではありますが、内臓の動きは自律神経によってコントロールされています。
すなわち、自分の意志でコントロールすることはできません。
自律神経には2種類あって、簡単にいうと「動きをよくするもの」と、「動きを抑制するもの」があり、どちらかの働きが強過ぎたり、あるいはどちらかの働きが弱過ぎたりすることなく、ちょうどよい働きになっているのが通常です。
しかし、このパワーバランスが崩れてしまうと、消化管の動きが必要以上に強くなって下痢がちになったり、あるいは逆に消化管の運動が弱くなって便秘がちになったりします。
これが、過敏性腸症候群の病態です。
下痢が主症状の患者さんは、比較的若い方に多い傾向があります。
午前中に症状が強い方が多く、極端な場合通勤途中で何度も途中下車してという例もあります。
こうした症状は、年齢と共に自然軽快することも多いのですが、前述の下痢の様に生活に支障を生じるような場合には治療が必要になります。 ただ、この場合も症状から診断は可能ではありますが、潰瘍性大腸炎やクローン病などの炎症性腸疾患を鑑別する目的で大腸の検査をお受けになることをお勧めしたいと思います。